イスカンダルの元ネタ
イスカンダルの逸話
征服王イスカンダルとは
征服王イスカンダルといえば、第四次聖杯戦争「Fate/zero」にライダーのサーヴァントとして登場した古代マケドニア王国の王であり、アレキサンダー大王とも呼ばれる人です。
しかし、イスカンダルの少年時代の名前がアレキサンダーというわけではありません。
アレキサンダー≠イスカンダル?
では、何故イスカンダルはアレキサンダーと呼ばれているのか、そして二つ名"征服王"の由来となった東方遠征とは……。
実際の史実に注目して、イスカンダルの英雄譚を紹介していきましょう。
……の前に、「イスカンダルは一体どんな人だったのか」を知りたいという人のために、まずは本人について軽く触れようかと思います。
イスカンダルの生涯
イスカンダルは、マケドニアの王子として誕生。
父はヘーラクレース※1、母はアキレウス※2をそれぞれ祖とする家系で、ギリシア随一の英雄を祖に持つ本人は、そのことを誇りに思っていました。
また、若いころは西洋最大の哲学者の1人として有名な「アリストテレス」を家庭教師に招き、勉学に励んでいたともいわれています。
※1:Fateシリーズではお馴染みのギリシア神話の英雄「ヘラクレス」。
※2:「Fate/Apocrypha」が初出の、アキレス腱が致命的な弱点と呼ばれる由来となったエピソードの人。
若くして”王”になる
イスカンダルが20歳の頃に父・ピリッポス2世が死去すると、若くしてマケドニア王国の王となり、前王死去の後混乱していたギリシアを見事にまとめあげました。
ペルシア東征へ
ギリシアをまとめあげた後、ペルシア東征に出発。
小アジア※、エジプトの征服、ペルシャ帝国の撃破と次々に覇道を突き進みますが、熱病に冒され32~33歳の若さでこの世を去ってしまいます。
※トルコ共和国の大部分を占める地域。昔はアジアと言えばこの地域を指していたが、アジアの地域が明らかになるに連れ、"小さな範囲のアジア"という意味で小アジアと呼ばれるようになった。
アレキサンダー大王と征服王イスカンダル
先ほどから、イスカンダル、イスカンダルと連呼していますが、本名は「アレクサンドロス3世」で「アレクサンドロス大王」とも呼ばれています。
その名前を英語風に読むと「アレキサンダー大王」となるのです。
”イスカンダル”は誤読された名前
では、イスカンダルの名前の由来は何か。
端的に言うと、アラビア語やペルシア語で名前を読んだ際の誤読が理由です。
もともとの名前のスペルは「Aliskandar(アレキサンダー)」なのですが、この名前の一部"al"は名前ではないと勘違いされて「Iskandar」となりました。
これが、イスカンダルの名の由来といわれています。
イスカンダルとして召喚された理由は?
では何故、本名(真名)のアレキサンダー大王ではなく、イスカンダルとして召喚されたのでしょうか。
それは、サーヴァントは基本的に全盛期の姿で召喚されることが関係すると思われます。
アレキサンダー大王の全盛期は、おそらく後述する東方遠征の時。
東方遠征と言えば、名前を誤読したペルシアなどの国家が征服される時です。それ以降、イスカンダルの名が英雄、一方では畏怖の存在として語り継がれることになったので、イスカンダルの名で召喚されたのかもしれません。
”東方遠征”はイスカンダル最大の戦い
イスカンダルは、ギリシア(マケドニア)の東方、アケメネス朝ペルシアの支配する広大な地域への大遠征を行いました。
これが、俗にいう"東方遠征"です。
東方遠征を行った理由は、ペルシア戦争※の復讐や領土的野心、父の意思を受け継いだなど諸説ありますが、本人は奴隷の境遇にあるアジアの民を解放する戦いであると部下に語っていたと伝えられています。
※紀元前499年から紀元前449年の三度にわたるギリシアとペルシアによる戦争。
Fateの世界では遠征理由が異なる
ただし、Fate/Zeroで語った東方遠征の理由、いわゆるFate設定では異なります。本人曰く、最果ての海(オケアノス)を目指して遠征をしたとのこと。
古代ギリシアの価値観では、世界(地球)は丸くなく、大陸の周りを海が取り囲み、世界の果ては海と思われていました。その海が「Oceanus(オケアノス)」と言い、「ocean(大洋)」の語源ともなりました。
ちなみに、第三特異点は周囲を海に囲まれた場所が舞台なので、副題にオケアノスが付けられたのだと思われます。この章に、イスカンダルが出てくると思った人も中にはいるでしょう。
桁違いの征服力
東方遠征では、前述したように小アジア、エジプトを征服し、ペルシャ帝国を撃破。後に、ソグディアナを征服、そしてインド中央部まで進行しましたが、これは部下の疲弊を理由に、途中で引き返しました。
この覇業を僅か10年の間に成し遂げたことは脅威というほかありません。
ちなみに征服した土地の広さは人類史上歴代2位
※とされています。
これらの偉業から、ローマ最大の敵・ハンニバルやFGOにも実装されている「
カエサル」「
ナポレオン」など、数多くの人物から英雄と見なされました。
※1位は1,260万平方キロメートルの支配者「チンギス・ハーン」
最大のライバル「ダレイオス三世」
東方遠征の中で一番の戦いは、紀元前550年から続いていたアケメネス朝ペルシアを滅ぼしたことでしょう。この戦いではFGOにも登場している「
ダレイオス三世」が深く関係しています。
ダレイオス三世は、イスカンダルが滅ぼしたアケメネス朝ペルシアの
最後の王。イッソスの戦い、ガウガメラの戦いでそれぞれ破れ、最後には側近に裏切られ、暗殺されてしまいます。
ダレイオス三世の願い
ダレイオス三世の聖杯への願いが「イスカンダルとの再戦」ということからも、相当根深い因縁がうかがえます。ちなみに、イスカンダルはダレイオス三世の娘と結婚しているので、ダレイオス三世からしたら憎き敵が"義理の息子"になります。
因縁のあるサーヴァント2騎を召喚していると、マイルームで特殊会話が聞けます。
イスカンダルの場合は生前一度も酒を酌み交わしたことがないことを惜しんでいました。一方のダレイオス三世ですが、やはり狂化の影響でまともに喋れない様子……。ただし嫌いなものはハッキリと「イスカンダル」と呼んでいます。
『Fate/Grand Order』での活躍
イベントでの活躍
「Fate/Zero」が初出のイスカンダルは、「Fate/Grand Order(FGO)」では期間限定コラボイベント「Fate/Accel Zero Order」にあわせて実装されました。
イスカンダルらしが炸裂
そこでも、イスカンダル節は炸裂。
主人公たちと行動を共にしていた「諸葛孔明」を、未来を見据えるのはつまらないだろうと勝手に評価し、余(イスカンダル)だけは番狂わせを演じてやろうと頼んでもいないのに対立。
曰く、諸葛孔明は覇道の影を追い求める者で、そういう人を楽しませるのが王としての在り方らしいです。
Fate/ZEROでの活躍
前述の通り、アニメ「Fate/ZERO」ではサーヴァントの一騎として登場。
シリアスな場面があまりに多すぎるアニメで、数少ないギャグパートをほぼ独占。
それがあってか人気も高いですが、作中ではどんな活躍をしたのでしょうか。
略奪を正当化する王
イスカンダルは召喚されて早々、深夜の図書館に入り本を無断で拝借。
ウェイバーに盗人じゃないかと咎められると、「凱歌とともに立ち去るならば、それは征服王の略奪だ」と強引な理屈で盗人呼ばわりを訂正させます。
我欲にまみれた王
イスカンダルは、王と呼ばれる者同士語り合おうと、第四次聖杯戦争時の「
セイバー」と「
アーチャー」とで聖杯戦争ならぬ、
聖杯問答を行いました。
王としてのあり方
そこでは、各々が聖杯を欲する理由から始まり、イスカンダルとセイバーそれぞれの王としての在り方に話題がシフト。
"王"とは、正しき統制を行うべき人物であり、民が求める理想を追い求め続ける存在とセイバーは公言しましたが、イスカンダルはその"王としての在り方"を一蹴します。
イスカンダルの王としてのあり方
イスカンダル曰く"王"とは、誰よりも自由に強欲に生きることで、羨望を集める存在。そのような我欲にまみれた"王"ならば、民は王になりたいと憧憬の念を抱き、より国を繁栄させていくと断言。無欲な王=セイバーを飾り物にも劣ると評しました。
一騎当千の猛者たちの王
現代ではおおよそ受け入れられにくい自論を展開するイスカンダルですが、この在り方が"正しい"と証明する宝具を有しています。
それが【王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)】。
宝具【王の軍勢】
【王の軍勢】とは、彼が生前率いていた近衛兵団を数万の独立したサーヴァントとして連続召喚し、敵を蹂躙するイスカンダルの切り札。
臣下との絆が宝具にまで昇華した結果生まれた、彼の王としての在り方の象徴。
召喚されるサーヴァントの中には、イスカンダルよりも武力に優れた者や、一国の王クラスの《カリスマ》を持つのもいるようです。こうして召喚に応じるということは、"王"イスカンダルに魅了されていたからでしょう。
劇中でこの宝具は、数十体で夜襲をかけてきたアサシンを蹂躙する活躍を見せました。
覇道を示す王
そのように強大な宝具を持つイスカンダルでも、アーチャーの宝具の前には手も足も出ず、敗北は濃厚。
しかし、イスカンダルの戦意は折れず、戦いの寸前に臣下となったウェイバーに対し、覇道を示すために真っ向から単騎、アーチャーに突撃。
結果的にイスカンダルの一撃は届かず、消滅することになりますが、その生き様、闘争心、"王としての在り方"を見届けたアーチャーは、傲慢な彼に似合わぬ賞賛の言葉を投げかけます。
後の世に影響を及ぼす王
こうして、イスカンダルとコンビを組み、第四次聖杯戦争を最後まで生き残った、イスカンダルに影響を受けたウェイバーは「イスカンダルの臣下に足る人物」になろうと、魔術師としての腕を磨きました。
統計塔随一の講師に
残念ながら、彼の魔術師としての腕は平均的で凡庸止まりですが、他者をプロデュースする才能を開花させ、人の才能を見抜き鍛えあげる時計塔随一の講師になりました。
なお、大人になったウェイバーの活躍は小説「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」にて見ることができます。
彼の元で学んだ魔術師の全員が大成すると言われているそうですが、それさえもイスカンダルが魅せた"王としての在り方"なのでしょうか。直接的ではないにせよ、自身の道を示すことで後の世に影響を与えるのは、さすが"征服王"とでも言うべきかもしれません。
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