牛魔王一家との因縁
三蔵法師にまつわる噂
西遊記の物語は、三蔵一行の取経の旅でもあり、妖怪たちとの戦いの記録でもあります。
何故妖怪たちは三蔵一行に襲いかかるのか。それは、三蔵法師にまつわるある噂が原因になっています。
紅孩児もその噂を耳にして、三蔵一行に襲いかかるわけです。こうして三蔵一行と牛魔王一家に因縁が生まれ、後に羅刹女、牛魔王とも戦うことになります。
それでは物語の時系列順に、各キャラクターにスポットを当てて紹介していきましょう。
紅孩児(モー孩児)
妖怪たちの間で、三蔵法師の肉を食べれば不老不死になるという噂が流れます。紅孩児も例に漏れず、その噂を聞きつけて三蔵法師を狙うわけです。
紅孩児は"三昧真火"という、口から火を出したり煙を出す妖術を使い、まんまと三蔵法師を誘拐することに成功します。概念礼装のタイトルは、この必殺技をそのまま持ってきたわけですね。
三蔵法師を救出
さて、攫われたからといって、黙っている孫悟空たちではありません。
火は水に弱いと予想して大量の水を使用したり、父である牛魔王に化けて欺こうとしますが、どちらの作戦も失敗に終わり、なかなか三蔵を救出するには至りません。
そこで、孫悟空たちは観音菩薩の力を借りることにしました。
紅孩児、心を入れ替える
さすが、観音菩薩。
あれほど苦戦させられていた紅孩児を、あっさり捕らえることに成功。
金箍児(きんこじ)※を両手両足にはめ、半ば強引に、というのは言いすぎかもしれませんが、紅孩児を改心させ、勝手に自分の弟子にしてしまいます。
※呪文を唱えることで締め付けることが出来る輪っか。孫悟空の頭に嵌めてある"緊箍児"(こちらも"きんこじ"と読む)の類似品。
ところが、親である牛魔王と羅刹女にとって、決して面白い話ではありません。何しろ、自分らの息子を勝手に仏門に降らせたのですから。
そのことが後に尾を引いて、羅刹女、そして牛魔王との戦いに繋がるのです。
羅刹女(鉄扇公主)
時と場面が移り変わり、三蔵一行は火焔山に到着しました。
イベント同様、西遊記内でも火焔山は炎が上がる山として描かれており、一行は立ち往生してしまいます。
そこで孫悟空は三蔵法師たちを残し、炎を消すことが出来る秘宝・芭蕉扇を借り受けようと、持ち主である羅刹女の元へ。ちなみに、本場中国では羅刹女のことを鉄扇公主または鉄扇仙、日本では羅刹女と呼んでいます。
芭蕉扇を借りよう
辿り着いた孫悟空は、早速芭蕉扇を借りようと頼みますが、羅刹女にとって孫悟空は自分の息子・紅孩児の仇なので、借りるどころか逆に襲われてしまいます。
戦いの末、羅刹女から何とか借り受ける(奪い取る?)ことに成功しましたが、なんとそれは偽物で、炎を消すどころか逆に勢いを強めてしまう結果に。
転んでもただでは起きない羅刹女ですが、最終的には本物の芭蕉扇を貸すことになります。ですがそれは、また後の話。
偽物を掴まされた孫悟空は、夫である牛魔王に口添えをしてもらおうと、牛魔王のいる所へ向かいます。
牛魔王
週刊少年ジャンプに連載されていた竜の玉を集める漫画の影響か、上で紹介した妻や息子の名前を知らなくても、牛魔王という名前を知っている人は多いでしょう。魔王という名前がつくので、ラスボスっぽい感じですが、出番箇所は物語の中盤なので中ボスあたりでしょうか。
牛魔王と孫悟空の関係
牛魔王は、孫悟空と義兄弟の契りを結んだ仲です。
孫悟空が斉天大聖と名乗り、まだ天界で暴れていた頃に一緒に暴れまわっていた間柄。三国志の劉備、関羽、張飛のように崇高な契りではありませんが、牛魔王と孫悟空の他にも獅子や竜などバラエティに飛んだ妖怪が契りを交わしており、これらは七天大聖と言われています。
そのような旧知の仲なので、簡単に羅刹女との間を取り持ってくれると楽観視していましたが、こちらも親バカなのか、それとも妻を傷めつけたことへの報復か、戦いに発展してしまいます。
化かし化かされ
義兄弟の契りを交わした仲ですから、実力は拮抗しているのか、戦闘は長引きます。いえ、義兄である牛魔王のほうが強かったかもしれません。なにしろ、兄よりすぐれた弟なぞ存在しないのですから。
とは言っても、芭蕉扇を借りられなければ先へ進めませんから、孫悟空は別アプローチから芭蕉扇を狙いにいきます。
牛魔王に化けて
なんと
牛魔王に化けて、正面から羅刹女の元へ乗り込んだのです。
この当時羅刹女は、夫・牛魔王が愛人の宅に入り浸って寂しがっていたので、牛魔王が帰ってきたことに何の疑いも無く、牛魔王(孫悟空)へ本物の芭蕉扇を渡してしまいます。
しかし、後にそのことは牛魔王の耳に入ることになります。それに激怒した牛魔王は、孫悟空の仲間・
猪八戒に化けて、盗られた芭蕉扇を取り返しました。
そんな化かし化かされを繰り返し、果ては本物の猪八戒、牛魔王の愛人・玉面公主までもが出張ってきて
大乱闘。
それでも決着がつかないので、孫悟空は天界に援護を頼みます。そうして援護に現れたのが、
哪吒です。
終戦へ……
天界の軍隊をも動員されてしまっては、一溜りもありません。
牛魔王はとうとう降参し、芭蕉扇を差し出しました。
今度は正真正銘本物の芭蕉扇だったようで、火焔山に戻り芭蕉扇で風を起こすと、みるみるうちに炎が消えていきました。
こうして、三蔵法師一行は炎が消えた火焔山を越え、天竺への旅を続けることに。それもこれも、孫悟空の活躍のおかげ……というわけではありません。
牛魔王一家との因縁の発端は、バカ息子・紅孩児の暴力事件だったかもしれません。しかし、火焔山の炎を消すために、芭蕉扇を借りる必要に迫られなければ、羅刹女や牛魔王に会う理由は無かったことでしょう。
火焔山に炎が点る原因をつくったのは誰か、そうです、火焔山の原因は孫悟空なのです。
戦犯・孫悟空
三蔵法師と出会う前(釈迦に封印される前)の孫悟空は、天界相手に傍若無人の限りを尽くしていました。
その悪行の数々の一つに、とても偉い神の一人、太上老君の八卦炉を壊したというのがあります。八卦炉とは、太上老君が仙丹(不老不死の霊薬)を作るための炉ですが、簡単に言うと焼き物などに使う釜みたいなものです。
もうわかりましたね、壊した弾みで地上に落ちた八卦炉から火が燃え移り、それが火焔山誕生の原因※になったのです。
孫悟空は、火焔山の炎を消したことで、自らが起こした500年以上前の不祥事を、自身の手で知ってか知らずか解決したことになります。
割りを食ったのは牛魔王です。
三蔵法師の噂に踊らされず、ただ愛人と乳繰り合っていただけなのに、仇が出現したとあらば戦わないわけにも行かず、その戦闘により自身が怪我をしたばかりか、愛人の玉面公主も殺される始末。
弟の尻拭いは兄の役目かもしれませんが、そのためには大きな代償を払ったようです。
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